溶融亜鉛めっき550 g/m²は何μm?HDZ 55とHDZT 77の違い・発注時の注意点
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- 出版社
- Tianjin Yuantai Derun Steel Pipe Group
- 発表時間
- 2026/10/28
概要
JIS H8641 が 2021 年に改訂され、めっきの表示が付着量(g/m²)から膜厚(μm)に変わりました。同じ品質を違う単位で語るため、数値をそのまま比較しにくくなります。換算の根拠と、発注時に確認すべき四点をまとめます。

「溶融亜鉛めっきの付着量550 g/m²は、膜厚では何μmか」と確認されることがあります。 めっき皮膜の密度を7.2 g/cm³として換算すると、550 g/m²は約76.4 μmです。一方、旧規格のHDZ 55に対応する新しい種類の記号は、膜厚77 μm以上を規定するHDZT 77です。約76.4 μmという換算値と、HDZT 77の要求膜厚は、区別して扱う必要があります。 本記事では、付着量と膜厚の換算、新旧の種類の対応、発注・検査時の確認事項を解説します。 本記事は、主にJIS H 8641:2021に基づく溶融亜鉛めっきを対象とします。亜鉛めっき鋼管には別の製品規格や発注仕様が適用される場合があるため、すべての製品をHDZTの記号に置き換えられるわけではありません。 JIS H 8641に関連する付着量と膜厚の換算では、めっき皮膜の密度を7.2 g/cm³として扱います。この場合、膜厚1 μmは、付着量約7.2 g/m²に相当します。 換算式:膜厚(μm) ≒ 付着量(g/m²) ÷ 7.2 具体的に計算すると、次のとおりです。 ここで注意したいのは、約76.4 μmは550 g/m²を密度7.2 g/cm³で換算した計算値であり、HDZT 77の合否判定値ではないことです。HDZT 77を指定する場合は、規定の試験方法で求めた膜厚測定値が77 μm以上であることを確認します。換算値を、そのまま規格の判定基準に置き換えないよう注意が必要です。 2021年の改正で、めっき皮膜に要求する品質特性が付着量から膜厚へ変更され、種類の記号と試験方法も見直されました。 新旧の対応は次のとおりです。 ※ HDZ A、HDZ Bの欄は、平均膜厚(35 μm、42 μm)にめっき皮膜の密度7.2 g/cm³を乗じた換算参考値です。旧規格の2種(HDZ 35、HDZ 40、HDZ 45、HDZ 50、HDZ 55)のように、付着量そのものを要求する規定とは性質が異なります。 表から読み取っていただきたい点は二つあります。 第一に、旧記号の数字を、そのまま付着量の数値として読むことはできません。HDZ 35は35 g/m²ではなく、350 g/m²以上です。HDZ 55も55 g/m²ではなく550 g/m²以上です。 第二に、改正後の種類は、膜厚に応じて7区分に分かれています。旧規格の1種(HDZ A、HDZ B)は平均膜厚で規定されていたため、新しい体系ではHDZT 35とHDZT 42に対応します。旧規格の2種は付着量で規定されており、新しい種類との対応は上表のとおりです。密度7.2 g/cm³による計算値と、新しい種類に定められた膜厚値は、必ずしも一致しません。 なお、厚さによって選べる種類が一律に制限されるものではありません。薄肉の素材で高い膜厚を求める場合は、加工側と実現性を事前に確認しておくと確実です。 出典:一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会「表1 種類の記号及び膜厚」「表2 膜厚と付着量との関係(JIS H 8641 の解説表1参照)」 改正の要点は、表示単位の変更だけではありません。試験方法と判定の考え方も見直されています。 第一に、測定する項目が付着量から膜厚に変わりました。 膜厚は電磁式膜厚計で非破壊測定できます。一方、付着量は剥離して重量を測る試験で、通常は試験室で行う必要があります。製造現場で確認できることには、実務上の意味があります。 ただし、旧規格でも膜厚計による測定がまったく認められていなかったわけではありません。旧規格でも、受渡当事者間の協定によって膜厚から付着量を換算する扱いが可能でした。また新しい規格でも、膜厚計による測定が困難な場合には、付着量試験から膜厚を換算する途径が残されています。どちらの場合も、適用する試験方法と判定条件を発注時に明確にしておくことが重要です。 第二に、膜厚の測定方法と判定単位です。 膜厚は、製品全体の平均値だけで判定するものではありません。電磁式膜厚計による膜厚試験では、原則として各測定箇所で5回測定し、その平均値を当該箇所の膜厚測定値とします。そのうえで、各測定箇所の値が、指定した種類の膜厚基準を満たしているかを確認します。全製品の総平均で一箇所の不足を埋めることも、1回の測定値だけで合否を決めることもできません。 なお、有効面が狭い場合や形状が複雑な場合には、規格に定められた別の方法によるか、受渡当事者間の協定による場合があります。測定箇所の数、抜取方法も含め、適用する規格と受渡条件に従って設定します。 参考:一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会『溶融亜鉛めっきのJIS規格改正に関するQ&A』、Q9・Q28・Q29。関連規格:JIS H 0401「溶融亜鉛めっき試験方法」。 第一に、相手がどちらの規格で話しているか。 「550グラム」と言われた場合、それがどの種類に対応し、膜厚に換算するといくつなのかを確認します。「溶融亜鉛めっき」とだけ記載した仕様では、要求する膜厚や検査条件が明確になりません。 第二に、適用する製品規格の範囲。 JIS H 8641は、鋼材に施す溶融亜鉛めっきの有効面の品質を規定する規格です。亜鉛めっき鋼管には、JIS G 3442のような別の製品規格や、個別の発注仕様が適用される場合があります。JIS H 8641が改正されたからといって、すべての亜鉛めっき鋼管の表示がg/m²からμmに変わるわけではありません。 製品ごとに、どの規格のどの年版に従うかを確認する必要があります。 第三に、切断・溶接とめっきの施工順序。 ここは施工順序によって意味が変わります。 めっき後に切断や溶接を行う場合、切断面や溶接周辺で鋼材が露出したり、めっき皮膜が損傷したりします。この部分をどこまで有効面として扱うか、防食処理や補修をどう行うかは、図面や発注仕様で事前に取り決めておく必要があります。露出した端面がすべて自動的に合格となるわけではなく、防食処理が不要という意味でもありません。 切断・溶接後に全体をめっきする場合は、端面や溶接部も含めてめっきを施す工程となります。ただし、ねじ部や嵌合部など、寸法精度や機能上の制約がある箇所については、必要な膜厚、有効面の範囲、めっき後の加工の要否を事前に確認します。 いずれの場合も、対象部位、防食処理の方法、補修の要否、検査範囲を、発注前に文書で取り決めておくことが、後の行き違いを防ぎます。 以下は、日本溶融亜鉛鍍金協会が公開している大気中での参考値です。特定地域や個別製品の耐用年数を保証するものではありません。 参考耐用年数は、次の式で計算されています。 換算式:参考耐用年数(年) = 付着量(g/m²) ÷ 年平均腐食速度(g/m²/年) × 0.9 係数0.9は、めっき皮膜の90%が消耗した時点を目安とする考え方によるもので、亜鉛がすべて消失するまでの年数ではありません。 例えば、付着量550 g/m²、年平均腐食速度8.0 g/m²/年とした場合、550 ÷ 8.0 × 0.9 ≒ 61.9となり、参考耐用年数は約62年です。ただし、これは一定の腐食速度を仮定した概算であり、点検・補修時期や製品寿命を保証するものではありません。 この数値をそのまま海水浸漬、干満帯、飛沫帯の検討に使うことはできません。 協会は、海水中では100〜200 g/m²/年程度、干満帯やスプラッシュ・ゾーンでは1,000 g/m²/年程度になる場合があるとしており、一般大気暴露とは腐食条件が異なります。また臨海地域でも、海岸からの距離や海塩粒子の濃度によって値は大きく変わります。これら水環境での詳細は、別途の防食設計で検討する必要があります。 出典:一般社団法人 日本溶融亜鉛鍍金協会「溶融亜鉛めっきの耐食性」(大気中・水中・海水中の腐食速度、耐用年数の計算式) 図面や仕様書に記載するときは、どちらを主たる判定基準にするかを明確にしてください。付着量と膜厚を併記するだけでは、検査時にどちらで合否を判定するのか分からなくなります。 新しい規格に基づく場合は、次のように記載します。 新旧の対応は参考情報として添えるものであり、合否判定は、指定した規格と要求事項によって行います。 案件の都合で従来どおり付着量550 g/m²の試験を要求する場合は、適用する年版・試験方法・判定方法を別途明記してください。新しい種類の膜厚を括弧書きするだけでは、要求の所在が不明確になります。新旧両方の試験結果を併記する場合は、どちらが合否判定の基準かを取り決めておく必要があります。 亜鉛めっき鋼管の供給範囲については、亜鉛メッキ鋼管、亜鉛メッキ角形鋼管の各ページをご覧ください。材種・寸法・数量・納期、および必要なめっきの種類・膜厚については、お問い合わせください。550 g/m²は何μm?付着量と膜厚の換算方法
付着量(g/m²) 換算膜厚(μm) 250 約34.7 300 約41.7 350 約48.6 400 約55.6 450 約62.5 500 約69.4 550 約76.4 
HDZとHDZTの違い|新旧規格の対応表
旧記号 旧規格の要求又は参考値 新記号 新しい膜厚要求 HDZ A 約250 g/m² ※ HDZT 35 35 μm以上 HDZ B 約300 g/m² ※ HDZT 42 42 μm以上 HDZ 35 350 g/m²以上 HDZT 49 49 μm以上 HDZ 40 400 g/m²以上 HDZT 56 56 μm以上 HDZ 45 450 g/m²以上 HDZT 63 63 μm以上 HDZ 50 500 g/m²以上 HDZT 70 70 μm以上 HDZ 55 550 g/m²以上 HDZT 77 77 μm以上 
JIS H 8641:2021で変わった試験・判定方法
発注時に確認する規格・膜厚・切断面の処理
使用環境による腐食速度と耐用年数の目安
暴露環境 平均腐食速度(g/m²/年) 付着量550 g/m²時の参考耐用年数 都市・工業地帯 8.0 約62年 田園地帯 4.4 約113年 海岸地帯 19.6 約25年 仕様書への記載例
記載項目 記載例 めっきの種類 溶融亜鉛めっき:JIS H 8641:2021、HDZT 77 膜厚試験 膜厚試験:JIS H 0401「溶融亜鉛めっき試験方法」による(適用する年版は契約で指定) 有効面・測定箇所・抜取方法・めっき後の加工部の処理 図面・発注仕様による 参考(旧規格との対応) 旧規格のHDZ 55(付着量550 g/m²以上)に対応する種類